森のくまさん

俺の名前はラサッサ 王国の戦士である。今はとある事情で知り合った少女、今の妻と暮らしている。
俺と妻が経験したとある事情を教えよう。

あの日俺は王から直々の命令を受け、森に住む魔女討伐に出かけた。
様々な苦難の末、魔女と対決した。
魔女の魔法は強力だったが、俺は最後の力を振り絞り剣をふるった。
やっと魔女を倒したと思ったその時、魔女が最後の力で俺に呪いをかけたのだ。

「永遠に森にとらわらて生きよ!」

そして俺はこの姿になった。
どこからどう見ても熊だ。猛獣の姿の俺はもう城には帰れない。
絶望しかけた時どこからか声が聞こえた。
「ラサッサよ、このままでは身も心も熊になってしまう。心まで変わってしまう前に呪いをとかねばならぬ。それには貝殻と美しい歌声が必要だ。さぁ探すのだ、ラサッサ。貝殻と歌声の主を」
俺はその声に従うことにした。

森中をさまよい歩き疲れ果てた時、とても美しい声が聞こえた。
これだ!俺はその声の主に近づいた。
そこにいたのは美しい声で歌う少女であった。少女は何かを探しているようであった。
俺は藁にもすがるつもりで少女に声をかけた。
「お嬢さん もう一度その歌を聞かせてくれないか」
少女は言った「あら、熊さん 私の歌が気に入ったの?いいわよ聞かせてあげる」
少女が歌い始めた時俺の心の中の野獣の声が森に響いた。
『やめろ!』

俺は心の中の野獣に負ける前に少女に言った。
「う、うぅ、す、すまん、早くここから逃げてくれ 俺が俺でなくなる前に」
少女は怯えた顔で逃げて行った。
俺は心の中の野獣と戦いなんとか理性を取り戻した。
その時地面に落ちているものを見つけた。白い貝殻のイヤリングだ。
やはり!やはりあの娘が俺を救ってくれるのだ。

俺はまた少女を追いかけた。
「お嬢さん 落し物だ」
少女は怯えながらも俺に礼を言った。
「熊さん ありがとう さっきお歌を歌う前にイヤリングをなくして困ってたの。お礼にさっきの歌をもう一度歌いましょう」

ララララ〜
少女が歌い始めると貝殻のイヤリングが光った。
そして俺の体も光り始め……
俺は元に戻れた。
俺は少女に礼を言った。
少女は言った。
「あの日夢の中で森に行きなさいと妖精さんから言われたの。そこで怖い人に会うかもしれないけれどその時はこの歌を歌ってあげなさい。そうすれば怖さを克服できるからって」

俺は妖精の導きに救われたのだ。

どうだい?不思議な話だろう?あれからもう、10数年あの時の少女は俺の妻だ。

もちろん白い貝殻のイヤリングはずっと妻の耳にある。

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